最近、専門の治療院も多数オープンしている注目の治療法です。とは言っても吸玉療法自体は古くから存在しており、紀元前に栄えたメソポタミア文明で当時の医師が使用していたそうです。またギリシャの神殿跡からもその記録が出土しており、現代医学の祖といわれるヒポクラテスも吸玉を使用していたそうです。ちなみに吸玉療法の別名の吸角というのは、古代の中国で牛の角を用いていたところから吸角という名称になったと言われています。現代ではカッピングやバンキーなどと呼ばれることもあり、日本をはじめ中国や韓国、英国、スイス、ブラジル、アルゼンチンなど世界中で行われています。
治療方法は、ガラスまたはプラスチックのカップを患部に当てポンプなどを使用してカップ内を陰圧(真空状態)にします。その後カップを外すと血行が回復し、今まで以上の血流をもたらし筋肉内に溜まった疲労物質(乳酸や二酸化炭素)を早期に除去できます。最初のうちは背中にカップの跡が残りますが、3日〜1週間ほどでなくなります。
吸玉療法には、乾角法と湿角法の2種類があります。乾角法とは血を出さないで吸玉を皮膚に吸い付かせる方法であり、老廃物の溜まった体液を皮下に集めて浄血する方法です。湿角法とは三稜鍼などで皮膚にわずかに傷をつけて(刺絡といいます)、その上に吸玉を吸い付かせて出血させ直接浄血する方法です。ともに血液(体液)の浄化を目的としていますが、現在は皮膚から出血させる行為が医師法で医師のみにしか許されていないので、当院を含め現在行われている吸玉療法は基本的に乾角法となります。
吸玉療法は吸着中の皮膚の反応で様々なことがわかります。健康な人の場合、あまり変化は見られませんが、疲れや慢性疾患などがある場合は、対応部位の皮膚に変化が現れます。これを色素反応といい、どす黒い・見るからに不健康そうな色が出ます。疲労や慢性疾患の症状の度合いが大きいほど色が濃く・黒く出ます。また、それほど症状がひどくない場合は赤みを帯びる程度となります。疲労や慢性疾患の症状の度合いが大きいほど吸玉療法の跡が長く残ります。
@ 血液を綺麗にして血行をよくする
この治療法の効果のなかで最もすばらしく、特徴にもなっているのは血液に対する作用です。つまり、血液の浄化と血行の促進です。健康な身体を保つ上で最も大切な役割を果たしているのが血液です。私たちは血液を常にサラサラに保つ必要があります。ドロドロだと血栓ができる可能性や、血行不良になる可能性があるからです。
A 有害成分を追い出すデトックス効果
患者様の身体から吸玉を外したときに、ものすごい悪臭がして思わず顔をそむけたくなることがあります。悪臭のある分泌物で皮膚がヌルヌルした状態になっていたりします。これは吸玉療法により体内から有害な成分が急速に排出されたことを物語っています。血液が運び出す老廃物の大部分は腎臓で分離され尿として排出されますが、皮膚からも汗や皮脂に混ざって排出されます。吸玉療法によってこの働きが増進されるのです。
B 乳酸・コレステロールも排出する
この効果が接骨院で吸玉療法を行う最大の目的ですが、吸玉療法の働きとして施術した部分の血管が引っ張られてふくらみ、血液の流れる量も早さも増大します。この効果により、流れの悪かった血管が開き血行の障害が改善されます。吸玉療法の効果はかなり深部まで及びますので、深部のうっ血した汚い血を皮膚の表面近くまで引き出し、流れの良くなった血管に乗せることができます。運動後の筋肉痛などは、筋肉の中に乳酸などの老廃物が溜まることによって起こりますが、吸玉療法によりこれらを皮膚の表面近くまで引き出し、流れの良くなった血管に乗せることができます。
C 関節の動きを改善する
吸玉療法の効果により関節内の血行を改善して、滑液(関節の潤滑油のようなものです)の分泌を促します。
急性疾患(急に症状が出たもの)や、伝染病、熱性病、骨折、出血や内出血を伴う外傷、弁膜症などの心臓や血管が正常でない患者様、血液をサラサラにする薬を内服されている患者様、全身性貧血・妊娠中の患者様などです。詳しくは院長にまでお聞き下さい。